今回は、今流行りのeKYCについて解説していきたいと思います。
仕事上、eKYCを扱う業務も増えてきましたが、今後ますます需要は増えていくと思います。

eKYCのポイント3つ
- eKYCって何?
- どんなメリットがあるの?
- ユーザー体験はどんな感じ?
- eKYCを提供している企業とその特徴?
- 導入に際して気をつけるポイント

1.eKYCって何?
まずは、eKYCとはなんぞや?という概要から学びましょう。
eKYCは、「いーけーわいしー」と読み、「electronic Know Your Customer」の略です、英語嫌いな人はこの時点でアレルギーが出てるかもしれません。
簡単に言うと、オンラインで本人確認ができる仕組みを指します。KYCは、「Know Your Customer」つまり、あなたのお客様を知っているよ、と言う意味です。
元々、KYCと言う単語自体が、金融用語なので、聞き馴染みがないかもしれません。金融業界で本人確認という用語で使っていたものが、電子上(オンライン)でできるようになったので、先頭にe(electronic)が付いたんですね。
2.どんなメリットがあるの?
次に、eKYCを導入するメリットを考えてみましょう。
eKYCを導入することで、ユーザー側、企業導入企業側の両方に以下のようなメリットがあります。
比較項目 | ユーザー | 導入企業 |
セキュリティ | ◯ 申込に本人確認が必要なため、第3者による成りすましを防ぐことができ、乗っ取りを防げる | ◯ 左記体験をユーザーに提供することで企業のブランド価値を向上 |
利便性 | ◯ 今まで本人確認を紙でやっていた場合は、郵送を待ったり、書類を送らずネットから即時申込可能に | ◯ 左記体験をユーザーに提供することで企業のブランド価値を向上 |
コスト | – | ◯ 今まで、紙で本人確認をしていた場合は、郵送や書類作成、人件費、紙の管理などのコストが0になる |
近年は、ドコモ口座の不正利用など、本人確認が不十分のために起きた事故も少なくありません。
そのような不正利用からお客様を守るという意味でもeKYCの需要はますます伸びると思われます。
3.ユーザー体験はどんな感じ?
eKYCを使ったことがない人も居あるかもしれないので、実際に試した画像を貼っていきます。
GMOあおぞらネット銀行のeKYCの場合



流石に本物の免許証を載せるわけにはいかないので、ここまでにしてますが、実際には、免許証の表面・斜め(厚みチェック)、裏面、自分の顔、ライブネスの動画撮影、と順番に撮影していくと申込が完了します。
郵送していた頃と比べると遥かに便利になりましたね。
4.eKYCを提供している企業とその特徴は?
eKYCの機能自体を提供しているベンダーがあるので、ほとんどの企業はベンダーを選定して導入することになると思います。
今回は、いくつかの企業を紹介します。
企業 | eKYCのサービス特徴・実績 |
Polarify | Paypay銀行、ソフトバンク、楽天銀行など大手企業に導入実績あり 「Polarify ekyc」というサービスを提供 【特徴】 ・Daon社による世界最高水準のアルゴリズムを採用 ・画面デザイン、手続きはお客様のご要望に合わせてカスタマイズ可 ・OCR、BPOなど多彩な外部機能・サービスとの連携可能 ・攻撃監視や情報の暗号化など、SMBCグループの基準を充足する高いセキュリティ対策 ・SDK提供あり ・ブラウザ提供あり(おそらくAPI提供のこと) |
Liquid | GMOあおぞらネット銀行などに導入実績あり 「LIQUID eKYC」というサービスを提供 【特徴】 ・本人確認結果の管理 ・ユーザー情報の保存 ・本人確認書類、本人画像の保存 ・スーパーバイザー管理画面 ・オペレーター管理画面 ・当社管理画面 ・SDK提供あり ・API提供あり |
NEC | 楽天モバイル、自分銀行、NTTドコモなどに導入実績あり 「Digital KYC」というサービスを提供 【特徴】 ・精度世界No.1*の顔認証エンジン搭載 ・SDK提供あり ・API提供あり ※米国国立標準技術研究所(NIST)による顔認証の性能評価で5回⽬の第1位を獲得 |
DNP | りそな銀行への導入実績あり 「eKYC 総合サービス」というサービスを提供 【特徴】 ・ThreatMetrix「リスクベース認証」を導入(動的ルール分析や機械学習を活用) ・SDK提供あり |
日立 | 三菱UFJへの導入実績あり 「eKYC支援サービス」というサービスを提供 【特徴】 ・改正犯収法に基づくICチップ読取対応 ・券面撮影方式に対応 ・顔を自動検知するオートシャッター機能 ・SDK提供あり ・API提供あり |
※全て公式サイトに記載されている情報を載せてます。
5.導入に際して気をつけるポイント
最後に導入に際して気をつけるべきポイントを見ていきましょう。
eKYCベンダへヒアリングする際は以下の内容を必ず聞いておきましょう。
■注意すべきポイントと、ヒアリング内容
セキュリティについて | ・個人情報の管理場所はクラウド上 / オンプレ? ・ベンダ側での個人情報の保存期間はどれくらい? |
速度について | ・免許証や顔認証して次のページに進むまでのスピード(認証速度) ・導入後の平均的な速度(アクセス集中時に導入先ごとサーバーが分離されているか?) |
可用性について | ・メンテナンス頻度を確認 ・今まで障害発生などがありサービス停止がどれくらいあったか |
カスタマイズ性について | ・eKYCの画面は、導入企業ごとにどこまでカスタマイズ可能か? ・画面デザインは変更できる? ・URLは、変更できる? |
技術連携について | ・SPAを採用している場合、画面側で保持している情報は連携可能か? ・APIはどのような情報を連携しているのか? ・SDKは、iOS、Androidの対応バージョンや、必須のライブラリがあるか? |
コストについて | ・課金が発生するタイミングはいつ? ・導入コストはいくら? |
サポートについて | ・障害発生時はどのよな体制か? ・要望や質問のコミュニケーションは取れる? ・コミュニケーションの手段は何を使う?(電話?チャット?メール?) |
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以上、eKYCについて今から知っておくべき重要ポイント5つについて解説してみました。
この情報が皆さんの人生のお役に立てれば幸いです。
エンジニアとして日本のITリテラシーを高めていきたいと共感して頂いた人は、是非このブログの拡散とyoutubeの方も見ていただけると嬉しいです。
記事を最後まで見ていただきありがとうございました。
執筆者: hiroエンジニア